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bobourata

脚本の勉強をしています。見た作品の事とか考えてる事を書くと思います。始めたばかりです

『シャンプー台の向こうに』という映画を見ました

子どもの頃に見た映画を成長して見返すと、いろんな発見があります。

その映画を面白いと感じた昔の自分を可愛らしく思ったり、驚いたり、お母さんはこれをどういう気持ちで私に見せたのかなと思ったり。

 

『シャンプー台の向こうに』は、私にとって宝物のような映画のひとつです。

初めて見たのは11歳の時で、映画館にお母さんと見に行ったのですが、すごくいい映画だったなという思い出が残っている作品でした。

高校の長期休みで家にいたある日、無性にこれを見返したくなって、自転車で行ける範囲にある町中のビデオ屋さん全部を探して回ったけど、どこにもレンタルDVDが置いていなくて、撃沈したほろ苦い思い出があります。

それからも見返したいなと思う度に、ビデオ屋さんに探しに行っては置いてなくて諦めたことが5、6回はありました。こんなに見たいのに見れなかった映画ってこれが初めてで、逆にどんどん初めて見た時の思い出も美化されていって、気がついたら、たった1回しか見てないのに、オールタイムベストに入るレベルで自分の中で特別な作品になっていました。

 

そんな作品を、先日やっと見返しました。16年ぶりでした。

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〜あらすじ〜

イギリスの田舎町ヨークシャーのキースリー。普段は静かなこの町がにわかに騒がしくなってきた。なんとこの町で全英ヘアドレッサー選手権が開催されることになったのだ。バイト先の葬儀場で死体相手にカットの練習に励むブライアンはこの絶好のチャンスに気合い十分。一方、ブライアンの父でかつてこの大会で2連覇を果たしたフィルはまったく乗り気じゃない。というのも3連覇のかかった10年前、妻のシェリーがヘア・モデルのサンドラと恋に落ち家出してしまって以来気力をなくし、田舎理髪店のしがないオヤジに成り下がってしまったのだった。そこへ、家出した妻シェリーがやってきて、サンドラも含めた“家族”で大会に出場しようと持ちかけるのだった……。(allcinemaより)

 

主演がジョシュ・ハートネットで、ヒロインはレイチェル・リー・クック。このコンビ、ちょっぴり時代を感じますね。私が小学生の時、この2人はアイドルみたいに人気があって、私もその波に乗って2人が出ている映画をたくさん見ていました。真実を告白すると、この作品を映画館に見に行ったのも、この2人を見たかったからでした(謎の照れが出てしまいます)。

そしてお父さん役はアラン・リックマン、お母さん役はナターシャ・リチャードソンです。どちらも大好きな役者さんだったのですが、2人とも亡くなってしまいました。悲しいけど、今でもしょっちゅう映画で見ているから、亡くなったという実感が湧きません。

 

物語の軸になっていたのは、主人公ブライアンのお父さんが、浮気をして出て行ったお母さんをどう許していくのか、というお父さんの気持ちの変化の部分でした。

ヘアドレッサー選手権に出場するのを頑なに拒否している気持ちと、お母さんを拒否している気持ちがイコールで繋がっているので、お母さんと向き合う姿勢が芽生えるにつれ、お父さんのヘアドレッサー選手権への興味とやる気が復活していきます。この物語の構成が、すごく洒落ているなと思いました。

 

誰かを怒り続けることは簡単だけど、自分を傷つけた相手を“許す”って難しいよなぁと、お父さんに激しく同情しました。

誰かとの間に起きた問題と解決させるには、自分が悪かったにしても悪くなかったにしても、自分も歩み寄る他ないわけですが、それってなかなかできることじゃないですよね。でも永遠に放置するわけにもいかないから、必ずどこかで腹をくくるしかない。それをわかっていながら10年もお母さんと向き合うことを避けてきたお父さんの心を変えたのは、家族によるささやかな後押しの連続と、ある大きなきっかけがあったからですが、最終的にお父さんを動かしたのは、お父さん自身がお母さんを受け入れる心でした。それがまぁとても素敵な形で表現されているので、どういう風に描かれているかをぜひ映画を見て確認してみてください。

 

この映画は、終始ゆるーい感じのテンションで進む(ちょっぴりコメディも入った)ドラマでしたが、フィクションならもっと大げさに描けそうなところも、あえて平熱なままで描いている感じがとてもよかったです。

 

16年越しの鑑賞ということで期待値もそれだけ上がっていたので、全然面白くなかったらどうしよう!と、少しドキドキしながら見たのですが、とっても素敵な映画でホッとしました。映画にまつわる思い出補整がたまに悲劇を起こすことがあって(子どもの頃めちゃくちゃ好きで見ていた映画を見返したらとてもお下劣な映画でショック受けたりとか色々ありました)、時間が経った記憶や思い出って知らないうちに美化されているから、特に映画とかはあまり期待しないで見るようにしていました。でも、『シャンプー台のむこうに』に関しては、こんな地味な映画を面白いと思った昔の自分が少し誇らしく思えるぐらい、とてもいい作品でした。

 

とっても地味な映画ですが、鑑賞後のささやかな余韻がとてもいい感じなので、DVD探しの旅が大変かもしれませんが、興味があったらぜひ見てみてください(私は新宿TSUTAYAで見つけたので、大きい店舗にはあると思います)。

 

www.allcinema.netmovies.yahoo.co.jpwww.imdb.com